下請けを守る~その3~
投稿日:2017.03.14
こんにちは。宇田幸生です。今回は、下請シリーズ第3回目です。
これまでのお話は、下請けいじめを防止する「下請法」という法律があること。この法律で下請事業者が救済を受けるためには、
「自社と親事業者との間に一定規模の資本金格差があること。 」
「親事業者と行う取引が製造業など下請法で予め予定している取引の種類にあたること。」
の2つが必要でした。
今回は、下請法が適用される場合に親事業者に課せられる4つの義務と11の禁止事項について触れたいと思います。
【4つの義務】
Ⅰ 発注内容に関する書面を下請け事業者に交付すること
Ⅱ 下請代金の支払日を納品日から60日以内として予め決めること
Ⅲ 支払日に遅れた場合は納品後60日経過以降年14.6%の遅延損害金を支払うこと
Ⅳ 取引完了後2年間、取引に関する記録を作成し保管すること
【11の禁止行為】
1 発注物を受け取る義務
2 下請代金の支払遅延の禁止
3 下請代金の減額の禁止
4 不当な返品の禁止
5 買いたたきの禁止
6 購入・利用強制の禁止
7 報復措置の禁止(公正取引委員会や中小企業庁へ違反を知らせたことに対し)
8 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
9 割引困難な手形の交付の禁止
10 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
11 不当な給付内容の変更ややり直しの禁止
下請法の適用がある場合、かなり細かいパターンで具体的な規制をし、下請けいじめを防止しようとしているのです。
例えば、通常支払期日に遅れた場合、商法上では、年6%の利息・遅延損害金を支払えば足りますが、下請法では、親事業者にそれを超える高率の利息・損害金の支払義務を課している訳です。
親事業者に違反行為があった場合、下請事業者としては、公正取引委員会や中小企業庁にまずは相談することになります。逆に親事業者が自ら違反の申告をするケースもあります。
次回は、親事業者が違反している事実を自発的に公正取引委員会に申し出た場合のペナルティ軽減措置(リニエンシー)について触れたいと思います。