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妻(夫)に優しく(2)~40年ぶりの相続法改正

こんにちは。名古屋市東区代官町の弁護士宇田幸生です。

 

今回は、今年改正された相続に関する法律の3回目のご紹介です。

 

新法は、今年7月6日、参議院で相続法に関する新しい法律が可決成立し、7月13日に公布されました。

 

新しい法律は「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という名前です。

 

主な新制度として以下のようなものがあります。

 

【配偶者の権利強化】

・配偶者居住権の創設

・配偶者短期居住権の創設

・配偶者特別受益の例外規定の創設

 

【遺言書関係】

・自筆証書遺言の要件緩和

・法務局による自筆証書遺言保管制度の創設

 

 

【その他】

・遺産分割前の預貯金払戻し制度の創設

・相続人以外の寄与による金銭請求権の創設

 

今回は、この中で、3つめの【その他】の法改正についてご紹介します。

 

 

・遺産分割前の預貯金払戻し制度の創設(民法909条の2)

 平成28年12月18日の最高裁判例において、預貯金は遺産分割の対象財産であり、遺産分割が整うまでは個別の相続人がその相続分に応じて勝手に預金を払い戻すことはできないことが示されました。

 

 実際に、相続人として預貯金口座の預金払戻しをしようと金融機関に行ったものの、口座が凍結されており、相続人全員の合意や遺産分割協議が整わなければ、預貯金の払戻しができないと言われた経験がある方もいらっしゃるかと思います。

 

 もっとも、実際に遺産分割の話し合いが整うまでには相当の時間を要し、その間、預貯金が一切払戻しできないこととなれば、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に応えられない結果となりかねません。

 

 そこで、新しい民法では、①家庭裁判所の判断を経た仮払許可の手続、②払戻しを希望する相続人の法定相続分の3分の1(但し上限は150万円まで)を限度に単独での払戻しを認める制度、の2つを創設することになりました。

 

 各相続人の権利の擁護と現実的な資金の必要姓との調整をはかった新制度と言えるでしょう。

 

 

・相続人以外の寄与による金銭請求権の創設(民法1050条)

 相続人以外の方は、生前に亡くなれた方の介護等に尽力したとしても、相続人でない以上、相続財産を取得することはできません

 

 例えば、妻が一生懸命、夫の両親の介護をした場合でも、妻は夫の両親の相続人ではありませんので、両親が亡くなった後に相続財産を取得することはできないのです。

 

 しかし、これでは余りにも不公平であるため、このようなケースでは、妻からその他の相続人に対し、金銭を請求することができる制度を設け、少しでも公平性を確保しようとしたのが本制度となります。

 

 条文では「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払を請求することができる」とされています。

 

 

 単に療養看護や労務提供をしたに留まらず、亡くなられた方の財産の維持や増加に特別に寄与したことが必要とされるため、実務上のハードルは決して低くはありませんが、制度不存在から制度創設という意味では画期的な法制度と考えられます。

 

 なお、同制度は、相続開始と相続人を知った時から半年、相続開始から1年を経過した場合には権利行使ができなくなるため注意が必要です。

 

 妻や夫の両親のために介護等の努力を尽された方がいらっしゃいましたら、このような制度があることを頭の片隅にでも置いていただければ良いかと思います。

 

 

 

・実施日

 新制度については、2019年7月1日から施行される予定です。

 

→宇田幸生のプロフィールはコチラ

 

不明点や不安点などは、お気軽にお問い合わせください。

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